日本地域の事情を踏まえながら、グローバル視点で改革を進める。

ワークスタイルイノベーション ITリレーション
後藤 芳憲(2000年入社)

※所属・仕事内容は取材当時のものです。

日本地域のCRMの仕組みを刷新する役割を担っています。日本市場の販売機能統合や商流変革などかつてない変革期の中で、お客様へよりいっそうの価値提供をするためには、私たち自身も改革の手を止めないことが重要です。日本固有の事情を踏まえ、かつグローバルとも連携しながら、改革を進める。経営戦略の我々も、ビジネスパートナーとして、営業・サービスがプロフェッショナルとして力を発揮できるよう、日々業務に取り組んでいます。

CRMをもっとお客様中心の仕組みへ。医療に貢献できていることに感じるやりがい

医療国内営業統括での仕事について教えてください。

2021年10月にオリンパスマーケティング株式会社が設立されるのと同時にSalesforceを導入し、CRM(Customer Relationship Management)をお客様中心の仕組みへ刷新。その後、プロジェクトマネージャーとしてシステム管理を任され、データを活用した効率的な営業活動の実現を目指し、改修を重ねながら各システムとの連携や定着化を推進してきました。

最終的な目標は、お客様に関するあらゆる情報を一元化し、見込客の醸成、お客様や商談情報の管理、活動情報、納入、保守修理など、すべてのチャネルにわたる統一された顧客ビューを構築すること。現在はグローバルと調整しながら「Sales Cloud」、すなわち売上予測・見込み客管理など営業支援を主目的とした分野に着手している段階です。カスタマーサービスを主目的とする「Service Cloud」、ターゲットの絞り込みによって最適なタイミングで効果的なメッセージを届ける「Marketing Cloud」については、これから数年かけて取り組んでいく予定です。

Salesforceの導入に当たっては、1地域の個別のニーズだけで検討するのではなく、日本地域固有の状況を説明したうえで、オリンパス株式会社やグローバル、グループ会社と連携をとりながら、どのようにしたら実現できるかを検討。その折衝役、開発ベンダーとの交渉や開発依頼・進捗管理なども行っていました。

どんなところに仕事のやりがい、意義を感じていましたか?

CRMを刷新する中で、営業本部やマーケティング本部のメンバーからさまざまな意見や要望を集めてきました。現場に出向き、直接意見を聞くことができたうえで、全体最適の観点からアウトプットへとつなげる。その仕事は非常に困難な部分もありますが、この取り組みによって、各地で働く仲間たちの生産性向上につながるため、新しいシステムを使った戦略立案・実行責任を担う仕事には確かな意義があると感じています。

かつてない変革期の中で、お客様へよりいっそうの価値提供をするためには、私たち自身も社内における付加価値・労働生産性の高い組織へ生まれ変わるために、改革の手を止めないことが重要です。新たにシステムを構築するのは大変ですが、そのゴールは、データを横断的に統合することを通じて、お客様に付加価値を提供することにあります。医療施設や医療従事者の先に患者さんがいることを日頃から意識し、最先端の医療に貢献できていることにもやりがいがあります。

営業、ITインフラサポート、営業サービス支援を経て学んだオリンパスの強み

入社後、どのような仕事を経験してきましたか?

内視鏡処置具の営業に1年半ほど従事した後、当時の営業サポートの部署に異動し、営業サービス支援に携わりました。はじめのころはパソコンなどのデバイス、ITインフラの構築をサポートしていましたが、異動して2〜3年目以降は、営業支援のための企画、設計、構築など、いわゆるCRM領域を担当するようになりました。企業活動の中でデータと情報がいかに重要かというのを肌で感じることができたと思います。

その時期に関して、とくに印象に残っていることを教えてください。

CRMを構築する際に目指したのは、販売実績データを取得し、最終顧客を特定することでした。当社では卸を経由して製品を販売することが一般的であったため、当時の状況として、まずやるべきことは、販売実績データを取得し、最終顧客を特定することでした。日本の商流(当時)では卸を経由して製品を販売するため、以前は、最終的にどんな製品がどのお客様のところにどのくらい販売されたかを把握するには、代理店経由で情報をあげてもらわねばならず、正確な数字を得るまで大きなタイムラグがあったのです。

そこで、データを会社として一元管理すべく、現地マネージャーの協力を得て、北海道から沖縄まで、全国に点在する、我々にとって大事なパートナーである販売店を一社一社訪問。代表や経営層、管理責任部門のトップといった幹部の方々を相手に、販売実績に関する情報提供のための提案・交渉をさせていただきました。

当時の私は20代半ば。上司や現地の責任者らも同席していたとはいえ、オリンパス本社からの訪問ということで、皆さんが丁寧に接してくださり、非常に協力的だったことを覚えています。これまでの諸先輩方が築き上げてきた、販売店との強固な信頼関係の重みを肌で感じたと同時に、薬事法改正への対応という共通の目標実現に向けてWin-Winの関係を築けるよう、メーカーと卸が一体となって協力し合えたことがいまも強く印象に残っています。

また、医療卸の商習慣や、国内の医療の受発注プロセスについて学んだのもこの時期です。医療機器業界には、MD-Netと呼ばれるメーカーと卸とをつなぐ電子データ交換の仕組みがあります。そうした業界標準に関する知識や、各取引先の関心事などについて知ることができたことは大きな収穫でした。

全体最適化を目指した組織改革こそが、顧客価値の最大化への近道

その後、アジア・オセアニアを担当されますが、そこでの経験は、その後のキャリアにどう活かされましたか?

アジア・オセアニア地域では日本と違って卸を通さず直接販売(直販)をすることがほとんど。ビジネスの進め方、オペレーション、法規制、製品の売り方や見積りの出し方はもちろん、保守修理などサービス領域のことまで、エリアごとにまるでやり方が異なることを学びました。

その後、CRMの運用や刷新の仕事に関わる中で、グローバルとのやりとりに違和感なくスムーズに進められたのは、海外拠点を担当していたからこそ。たとえば、直販するのが当たり前の海外のメンバーからすれば、代理店経由で最終顧客と直接つながっていない日本の状況を理解できなくて当然です。文化や考え方だけでなく、商習慣の違い、ERP(enterprise resource planning)の違いなど、ギャップがあることを前提としてコミュニケーションが取れたのは大きかったと思います。

オリンパスマーケティングが立ち上がった背景には、大きく変わる環境に対応すべく、最適な販売体制の構築が急務であり、日本という国内市場全体を一気通貫で対応、変革を迅速に進めるという考えがありました。以前、オリンパス株式会社とオリンパスメディカルサイエンス販売株式会社の販売機能統合、またかつてない商流の変革も行われており、システム上の若干の混乱はありますが、お客様へのよりいっそうの価値提供をしていくために、ぶれることなく改革を進めていくべきだと感じています。

仕事をする上で大切にしていることはありますか?

“後工程はお客様”といつも考えるようにしています。というのも、開発、営業、マーケティング、SCMと大きな供給の連鎖がある中で、それぞれの部門が部分最適化してしまえば、他部門への負担は大きくなる一方。たとえば、SCMで問題があったからといって発注書に項目を追加すれば、その発注書を作成する人の仕事が増えてしまいます。

各部門が他部門に配慮し、全体最適を目指して仕事と向き合うことが、バックオフィスを含め、社内のすべての活動を価値の連鎖とするための近道。グローバルメドテックカンパニーとして、お客様だけでなくステークホルダーの期待に応えられるような付加価値の高いサービスを提供する上で、とても重要なことだと考えています。

グローバル/国内の両軸での改革を。国境を超えた全体最適化の実現を目指して

今後の展望を聞かせてください。

グローバルメドテックカンパニーを目指す上で、CRMの活用をめぐって、ヨーロッパやアメリカをはじめとする海外拠点との連携をますます深め、コミュニケーションを活発化していかなくてはなりません。世界共通の仕組みがあるに越したことはありませんが、そう簡単にはいかないのが現実です。国境を超えて全体最適化を実現するために、今後は情報共有や意見交換をどう円滑に行うかが鍵になるでしょう。

日本のセールス拠点であるオリンパスマーケティングが、Global No.1の営業・サービス集団に進化できていて、世界から注目されるような、そのような状態を目指していきたいと思います。

全体戦略を成功へと導く上で必要なのは、国内の営業部隊として、オリンパスマーケティングの取り組みへの理解を求めていくこと。“誠実・共感・長期的視点・俊敏・結束”という5つのコアバリューの観点から、成果を出していけるといいですね。

一方、ずっと国内畑を歩んできたため、国内の事情に精通している自負があり、オリンパスマーケティングにも貢献したいとの気持ちも強く持っています。現在は働き方改革に取り組んでいるので、これまでのキャリアで培ってきた知識や経験を活かしながら、社員が本来の力やパフォーマンスを発揮できるような環境づくりに寄与していきたいと考えています。